各所で話題になってはいるものの、実際にはほぼ売れていないのではと思われているのがキングジムのポータブック。価格コムやアマゾンなどのサイト上でも、購入したというレビューがほぼ掲載されていません。また、メディアへの貸出機によるものばかりが検索ではヒットします。
Twitterで一部購入したという方も発見しましたが、ごくわずか…そしてTwitter検索すると出てくるのはネガティブなフレーズばかり。
さて、では本当にポータブック「使えない」子なのでしょうか?実際にポータブックを1か月近く使って感じたことを中心にまとめてみたいと思います。
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<サブマシンに約9万は高いし、いまどき3万くらいのタブレットPCでいいんじゃない?>

まず目につく言葉が「スペックのわりに高い」「値下がりしたらほしい」というもの。
ポータブックの販売価格は、発売当初で約10万、その後少し値下がりはしたものの、一定の値段からそれ以降動く気配すらなく、約9万円という値段で高止まりをしています。

SSDの容量が32GBしか搭載されておらず、そこにむりくりWindows 10 64Bit版を入れ込んでしまっており、いろいろなアプリを入れたい人にとっては、ちょっとそれどうなの?という印象は否定できません。
ましてや、PC売り場に足を運べばWindows搭載のタブレットPCが、2-3万程度でも購入できます。
とくに、小型で持ち歩きをしやすいという意味では、キーボードを同梱しており、値段も2万円台と破格の「ASUS TransBook T90Chi」がサブマシン用のタブレットPCとして人気を誇っています。
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実は私も「T90Chi」を3回購入して3回とも手放した経験があります。何故かというと、「開き具合とキーボードが気に入らない」というもの。とはいえ、このサイズのマシンがなかなか他にないので、手放しては買い直し、またがっかりして手放すということになってしまったのでした。
「T90Chi」のキーボードは、タブレット本体にはめこんで使う設計になっているのですが、開いたときの角度がわりとせまく、作業したいデスクによってはその角度のせいで画面がみづらい場合があります。そして、キーボードに関していえば、やや配列が変則的なキーボードとなっているので、慣れないと快適な文章作成というわけにはいきにくい部分がありました(これは個人の好みも大きいと思います)。それと比較すると、ポータブックのキーボードはぱかっと開いてしまえば快適なサイズとなり、しかも大きさのわりにエンターなどのキーも大きく、押したときの質感がとてもよいのです。このあたりはキングジムから発売されている、乾電池駆動で文章作成に特化したデジタルガジェット「ポメラ」シリーズのキーボード設計で培ったものが強く活かされています。

そして、キーボードの質感などもありますが、クラムシェルであるということも利点のひとつ。
急に何かを確認しなければならないという場合、マシンをデスクなどにおけるとは限りません。ひざのうえやバッグの上に置いて開いて使う、というのはタブレット+キーボードでは、マグネットにしてもはめ込み式にしても、その設計からしてちょっと難しいです。

ですので「スペックと価格が見合わない」という人ではなく「このサイズのクラムシェルを待っていた!」という人にとっては、何者にも変えがたいマシンに仕上がっていると思います。

<内蔵SSDの容量が少なすぎる、これでは作業できないのでは?>

本体に内蔵されているSSDの容量が32GB版しか発売されていないため、Windows 64Bit版が入っていることもあり、それの残り容量となると、かなり空き容量がかつかつにはなっています。
正直言って、様々なアプリケーションをその少ない空き容量にインストールして使うことはできません。

私の場合は、約3,000円でMicroSDXC 128GBを購入し装着、仮想内蔵SSDとして認識させることで、アプリ、写真、音楽などを入れて使うようにしました。小型ででっぱりのないタイプのSDアダプタがありますので、これに先ほどのMicroSDカードを装着して利用すると、ほとんどメモリカードスロットから目立つようなでっぱりはなくなります。
そのかわり、メモリカードを利用したい場合には、背面にあるUSBスロットにメモリカードリーダーを装着して利用することになります。

<画面が暗くてざらざらしてて見づらくありませんか?>

ひとむかし前のノートPCの液晶画面は、たいていこんな感じのものでした。
その後スマートフォン、iPadなどのタブレットが登場しましたが、その際にはキラキラとした明るいパネルが搭載されたので、そういうものしか使ったことがない人にとっては、なんだろう?と思うかもしれません。

ポータブックに採用されているようなタイプの液晶を「ノングレア」といいます。
このノングレア液晶のメリットは、照明が画面に反射しないので画面の文字情報が見やすくなる、ということにあります。
よくある光沢タイプの画面を使っていて、室内の照明が映り込んでしまい、文字などが見づらいと思ったことはないでしょうか。また、細かな文字を長く読んでいるときに、そのギラギラ感で目が疲れやすく感じたりしないでしょうか。
ノングレア液晶の場合、この映り込みがほぼないので、文章を書いていてもそれによって見づらくて目が疲れるといったことがなくなります。
デメリットは、ザラザラ感が目立ってしまうので、綺麗な画像などを見たいときにはあまり向いていないということになります。そこは使い分けといったところでしょう。

ポータブックは文章を書きたい人のほうがそもそも用途として惹かれるマシンだと思いますので、そういう人にとっては画像を綺麗に見たり、ばりばりと画像処理をするつもりではないので、あまり関係がないと思われます。

<ポータブックじゃなくてポメラの後継機が欲しかったのに!>

キーボードの部分でも書きましたが、ポータブックを発売しているキングジムが販売を続けている、文章を書くことに特化したマシン、それがポメラです。乾電池で駆動し、モノクロ画面ではあるものの電源を入れればさっと文章を入力することができ、愛用者も多いロングラン製品です。

このポメラのキーボード技術を入れ込んでポータブックは生まれました。

ですので、ポメラを使っていた人の中にはポータブックに期待を寄せていた人もかなり多くいたように思います。
しかし、実際にふたをあけてみれば、値段が高く、スペックが半端に見え、これならポメラを使い続ければいいじゃないか、ポメラの新しい製品を出してほしい、という声が出るのも理解できます。
私はポメラも使ったことがありますが、あれはあれで面白いと思っています。ですが、メインで使いたくなるほどのものかというと、今となっては個人的にはあまり惹かれません。

ネットに接続でき、それ自身で文章を書くときの調べものもでき、クラウドに接続して様々なデータにアクセスしながら文章をそこに保存できる、そんな現代のポメラを、ポータブックは目指していたんじゃなかろうか、と思うのです。
乾電池駆動に惹かれる気持ちも理解できますが、モバイルバッテリーで充電することも可能なポータブックは、わりと充電に関しては便利な要件をみたしていると思うのです。

ではポータブックは何も無理をしてWindowsを搭載しなくても、Androidにしておけばよかったんじゃないのか、という声もあります。これに関してはやや同意する部分はありますが、現状のAndroidがあまりタブレット向けに設計されていないことを考えると、やはりちょっとそこには同意しかねるのです。また、MicrosoftOfficeのファイルを操作したいという人がいた場合、まだまだ互換性などを考えると、わりとタブレットでも動作できるようになったWindowsのほうが、むしろ使いやすいのではないかということも理解できます。

<それで、ポータブックは買いなのか?>

個人的には店頭でちょろっと触ってもわからないマシンだった、と思いました。
自分で購入して毎日持ち歩いて使ってみたうえで、とてもよいマシンだと感じています。
単行本サイズの筐体、画面を開いてキーボードをぱかっと開くギミック、そして快適なキーボード、それらをふまえて、文章を作成する作業がメインの人にとってはちょっと高めであってもおすすめできるマシンだと思います。
とはいえ、ついでに画像処理もしたい、ついでにタブレットとしていろんなゲームも遊びたい、動画を楽しみたい、となると方向性が違ってしまうのかなとは思います。
ただ、それらもあまり向いていない部分があったとしても「できない」わけではありません。いざとなればどうとでも使えるのがPCであるメリットではあります。

キングジムにとって初モノのPCとなったポータブックですが、もう少し売れ行きが伸びて製品として息の長いものになってもらいたいな、と思います。